
最近のエアコンのガス漏れで多いのが、銅管の「蟻の巣状腐食(ありのすじょうふしょく)」です。ギ酸や酢酸といった酸が、熱交換器の銅管を蟻の巣のように食い進み、目に見えないほどの小さな穴をあけてしまいます。
この記事では、腐食の研究論文やエアコンメーカーの資料をもとに、蟻の巣状腐食の仕組みと原因、防ぐためにできることを、埼玉県草加市を拠点にエアコンクリーニングを行っているアースクリーンがまとめました。ガスが漏れると水漏れが起きる仕組みは、ガス不足(ガス漏れ)による水漏れの記事でご紹介しています。
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蟻の巣状腐食とは:銅管の中を、蟻の巣のように食い進む腐食
蟻の巣状腐食は、銅管の表面にできた小さな入口から、細いトンネルが枝分かれしながら銅の中を進んでいく腐食です。断面が土の中の蟻の巣に似ていることから、この名前で呼ばれています。
表面全体が少しずつ薄くなるふつうの腐食と違い、外から見ても分かりにくいのが特徴です。トンネルが管の内側まで届くと、小さな穴(ピンホール)から冷媒ガスが漏れ出します。熱交換器の銅管は肉厚が薄いため、比較的短い期間で穴があくことがあります。
エアコンメーカーの資料にも、ガス漏れした冷媒配管の断面に、蟻の巣のような腐食が写った写真が載っています(三菱重工サーマルシステムズの資料・PDF)。
腐食が進む仕組み:酸・水分・酸素がそろうと進みます
蟻の巣状腐食の原因になるのは、ギ酸や酢酸などの有機酸(カルボン酸)です。空気中の酸が、銅管の表面の結露水に溶け込み、酸素と一緒に銅を少しずつ溶かしていきます。
- 1. 空気中にギ酸・酢酸がある消臭スプレーや、油などの有機物の分解、酢などから出ます。
- 2. 結露水に溶ける冷房や除湿で熱交換器が濡れると、酸が水に溶け込みます。
- 3. 弱い所から銅が溶け始める表面の薄い膜の弱い所から、酸と酸素で銅が溶けていきます。
- 4. 枝分かれして奥へ進み、穴があく深くなるほど進みが速くなり、管の内側まで届くとガスが漏れます。
ごくわずかな濃さの酸でも起こります室蘭工業大学の研究では、ギ酸の濃さが1ppm(100万分の1)の水に銅管を28日間つけただけで、蟻の巣状腐食が起きました。1万ppmの濃い液では、蟻の巣状ではなく、表面全体が溶ける腐食になったと報告されています。蟻の巣状腐食は、薄い酸で起きやすい腐食です。
ギ酸・酢酸は、身近なところから出ています
- 消臭スプレー・除菌スプレーエアコンメーカーは、消臭スプレーや除菌スプレー、殺虫剤などの成分が熱交換器に吸い込まれ、冷媒配管の腐食やガス漏れにつながるおそれがあると注意を呼びかけています。ギ酸や酢酸など、金属を腐食させる成分を含むスプレーもあるとされています。
- 油などの有機物の分解油やアルコール、接着剤などの有機物が、水分と反応して分解(加水分解)したり酸化したりすると、ギ酸や酢酸などのカルボン酸ができます。
- 酢(寿司店など)寿司店のショーケースでは、酢(酢酸)が原因になることがあるとされています。
- お香・ペット・壁紙の接着剤などスプレー以外にも、お香やペットのアンモニア、壁紙の接着剤の化学成分など、室内環境の変化がガス漏れの要因につながる可能性が、メーカーから指摘されています。


なお、原因になる酸は気体になりやすく、水にも溶けやすいため、どこから来た酸なのかを後から特定するのは難しいとされています。
最近、ガス漏れが増えていると感じる理由
当店では、最近のガス漏れで多い原因が、ギ酸などによる蟻の巣状腐食だと感じています。理由として、次のようなことが考えられます。
- 室内でスプレーを使う機会が増えた:三菱電機の調査(東京・大阪の600人)では、コロナ禍で室内の除菌スプレーの使用が増えた人が80.3%、エアコンの運転中に使ったことがある人が6割以上、エアコンの内部に吹きかけたことがある人が17.5%でした。同社は、熱交換器の交換件数がここ数年増加傾向にあるとしています。
- 銅管の材料による違い:エアコンの熱交換器に一般的に使われるリン脱酸銅は、リンを含まない無酸素銅に比べて、蟻の巣状腐食が速く進むという研究があります。銅の中のリンが酸化して、腐食した穴の中を酸性にしやすいためと考えられています。
- 銅の質:昔に比べて、銅管の質が落ちているという声もあります。
防ぐためにできること
エアコンメーカーは、次のように呼びかけています。
- エアコンに直接スプレーをかけない消臭スプレーや除菌スプレーを、エアコンに向けて吹きかけないでください。
- 運転中や、エアコンの近くでスプレーを使わない運転中は空気と一緒に成分を吸い込みます。使うなら、エアコンを止めているときにしてください。
- かけてしまったら、窓を開けて1時間ほど冷房運転冷房シーズンなら、窓を開けて1時間ほど冷房運転すると、付いた成分が結露水に溶けて薄まります。
- 室内機の中を自分で洗わないメーカーは、故障や水漏れ、発火のおそれがあるため、ご自身での室内機の洗浄はしないよう呼びかけています。
ガス漏れすると、どうなる?
蟻の巣状腐食の穴は小さいため、ガスは一気にではなく、少しずつ漏れていきます。最初は冷えにくい・暖まりにくいといった症状から始まり、ガスが不足すると熱交換器に霜がつき、水漏れの原因にもなります。

ガス漏れしている場合は、ガスを補充しても、また漏れます。メーカー修理が必要です。熱交換器は部品が大きく、修理費用が高額になりやすいとされています。また、ガス漏れしているときのクリーニングは逆効果です。漏れている箇所に負担がかかり、漏れが広がる可能性があります。
ガス漏れの原因は、ほかにもありますガス漏れのもう一つの主な原因については、別の記事でご紹介します。
よくあるご質問
蟻の巣状腐食とは何ですか?
ギ酸や酢酸などの酸によって、銅管の表面の小さな入口から細いトンネルが枝分かれしながら進む腐食です。管の内側まで届くと、小さな穴から冷媒ガスが漏れます。
消臭スプレーを、エアコンの近くで使っても大丈夫ですか?
エアコンメーカーは、エアコンに直接かけたり、運転中やエアコンの近くで使ったりしないよう呼びかけています。成分が熱交換器に吸い込まれ、冷媒配管の腐食やガス漏れにつながるおそれがあります。
エアコンにスプレーをかけてしまいました。どうすればいいですか?
冷房シーズンなら、窓を開けて1時間ほど冷房運転してください。付いた成分が結露水に溶けて薄まります。
飲食店のエアコンでも起きますか?
寿司店のショーケースでは、酢(酢酸)が原因になることがあるとされています。油などの有機物が分解してできる酸も原因になります。
ガスを補充すれば直りますか?
ガス漏れしている場合は、ガスを補充しても、また漏れます。メーカー修理が必要です。
アースクリーンは2012年設立。埼玉県草加市を拠点に、埼玉・東京23区でエアコンクリーニングを行っています。エアコンクリーニングは年間500台以上、累計10,000台以上。スタッフは全員、経験10年以上です。Googleの口コミは★5.0(56件・2026年9月26日時点)をいただいています。当店については店舗概要を、壁掛けエアコンのクリーニング料金は壁掛けエアコンクリーニングのページをご覧ください。エアコンの水漏れの原因は、エアコンの水漏れの原因まとめで一覧にしています。
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